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2008 年08 月03 日

行政法研究フォーラム

京都キャンパスプラザで開催された第8回行政法研究フォーラムに出席してきた。テーマは「行政不服審査法改正・行政手続法改正」だ。
現在、国会で継続審議中となっているが、行政不服審査法・行政手続法が改正される運びとなった。

行政不服審査法は、たとえば区画整理組合から仮換地指定処分がなされたときに、行政訴訟を申し立てる前に、県知事に対して不服申立をするときに適用される手続法だ。他にも、県知事から産業廃棄物処理業の許可が取り消されたときに、環境大臣に対して審査請求をしたりする。

 私が以前、総務省で開かれた行政不服審査法研究会に出席したときに、せめて原処分に関与した職員が不服審査に関わるのはやめてほしい、せめて口頭意見陳述では審査請求人が一方的に意見を述べるだけではなく原処分庁の職員に質問できるようにしてほしい、せめて自治体の情報公開審査会のようなものでよいから第三者が入る審査会に諮問をしてほしい、せめて異議申立てでも原処分庁から原処分の理由を詳細に書面でほしい、と申し述べたが、今回の法改正では、ほぼ私の意見が採り入れられた。これで少しは行政不服審査もよくなるだろう。

 今後の課題は、審理員に人が得られるかどうかだ(逆に言えば、法改正がなくても、審査庁で審査に当たる職員が法の趣旨に則って審査を行えば、迅速適正に国民の権利救済は図れたのだが。)。その意味では、行服法改正は極めて実務的な課題だ。

 もっとも、今回、行政不服審査法が改正されても、先の仮換地指定処分についても産業廃棄物処理業許可取消についても、実は改正法は適用外となっているから、実際には、私のところに依頼がある事件に関しては、何の改善もなされないのだが。

 行政手続法の改正は、法令違反の是正のための処分・行政指導の申出制度や、違法な行政指導の中止の申出制度を創設するというものだ。
 しかし、どちらの申出についても、行政には応答義務もなければ、調査結果の開示義務も、通知・説明義務(申出に応じた措置をとらなかった場合、そのことを申出人に通知したり、その理由を説明する義務)もない。それなら、行政の職権発動を促すだけだから、今でもできることで、ほとんど意味のない制度だ。

 それどころか、改正法によれば、申出をするには、申出人の氏名・住所を記載しないといけないから、違法な行為をする行政・事業者に申出人から申出があった事実だけが伝えられ、内部告発者の保護もされないおそれがある。
 それでも、そのような制度を創設しただけ立派というべきか

投稿者:ゆかわat 22 :46| ビジネス | コメント(0 )

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